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【AI・人工知能EXPO NEO 登壇レポート】またPoCで終わった——本番化できない組織に共通する5つのパターン

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【AI・人工知能EXPO NEO 登壇レポート】またPoCで終わった——本番化できない組織に共通する5つのパターン
AI・人工知能EXPO NEO 2026(東京国際フォーラム)セッション「AX2」より

東京国際フォーラムで、おざけんさんと久々に対談しました

2026年8月5日〜6日、東京国際フォーラム ホールEで初開催された「AI・人工知能EXPO NEO」(主催:RX Japan)に、登壇と出展の両方で参加しました。

登壇したのはセッション「AX2:またPoCで終わった|本番化できない組織に共通する5つのパターン」。モデレーターは、一般社団法人AICX協会 代表理事の小澤健祐さん(おざけんさん)です。久々の対談で、500名規模の会場が熱気に包まれた45分でした。

セミナー全体のテーマは「現場の壁」。みずほ銀行、清水建設、ライオン、グロービスなど、各業界のAI推進キーパーソンが並ぶ中で、僕に与えられたお題が「PoCで終わる会社と、本番化まで抜けた会社は何が違うのか」でした。

会場でも冒頭に手を挙げてもらったのですが、「部署では使っているが、全社には広がっていない」という方が圧倒的多数。まさにこの一点を、現場の実体験だけで話した回になりました。


まず現在地を合わせる。AI活用の5段階レベル

自社が今どこにいるかを、まず全社で合わせる

デジライズでは、AI活用を5段階のレベルで定義しています。この日話したのは、多くの企業が実際に詰まっているレベル1〜3です。

レベル1:基本機能をちゃんと使う

ファイルをアップロードして分析させる、壁打ちする、要約させる。ChatGPTやGemini、Copilotの基本機能を個人がちゃんと使える状態です。

意外に思われるかもしれませんが、無料版のまま頑張っていて、有料ライセンスすら配られていない会社はまだ相当あります。

レベル2:定型業務をボット化する

毎回同じ手順で回している固定業務を、GemsやCopilotのエージェント機能でボット化する段階。メール作成AI、議事録作成AIあたりが典型です。

ここまでは個人単位で完結します。今年の前半で、ようやくこのボット作りが広がってきた、というのが体感です。

レベル3:部署横断で業務をつなぐ

レベル3から性質が変わります。分かりやすいのが打ち合わせです。

打ち合わせが終わった瞬間に、文字起こしが走り、議事録ができ、メールの下書きができ、Slackに共有まで飛ぶ。この点と点を線でつなぐのがレベル3です。

レベル2までは個人でいける。
レベル3は部署をまたいだ業務そのものを自動化する話なので、個人の頑張りでは届かない。
そして、自社だけでレベル3に到達できている会社は、ほぼありません。

IT企業ですら、専門の外部コンサルを入れています。理由はシンプルで、忙しくて自分たちの業務を整理する時間がないから。外からの目線で業務を棚卸しするフェーズが、どうしても必要になります。


本番化できない組織に共通する5つのパターン

止まる理由は、ほとんどが技術ではなく組織の側にある

600社に入ってきて、PoCで止まる会社にはハッキリと共通点があります。

パターン1:現在地が分からない

そもそもレベル感の共通認識がない。自分たちが今どこにいるのか分からず、部署ごとのレベルもバラバラ。この状態で全社展開の計画を立てても、話が噛み合いません。

パターン2:点のまま線にならない

チャットに単発の指示を投げるところで止まっていて、業務をつなぐワークフローに入れていない。会場でも、GemsやCopilotで実際にエージェントを作ったことがある方は少数でした。ここの実行者を増やすことが、そのまま全社展開の速度になります。

パターン3:下準備を飛ばす

業務をつなぐということは、自分以外のデータと、自分以外の人の業務に触るということです。

だからガイドラインの設計、セキュリティの線引き、どのデータをどうつなぐかの整理が先に来ます。やり方だけ作っても動きません。各自が勝手に作ると、それぞれがバラバラに動いて破綻します。横断チームを組んで業務を棚卸しし、重複を削ってから作る。この順番を飛ばす会社が本当に多いです。

パターン4:社内にエースがいない

外部コンサルが入っても、業務を理解するまでには時間がかかります。最終的には自分たちでワークフローを作れる人材が社内にいないと回りません。

抜けた企業は例外なく、社内で数人のエースを育てています。逆に、推進担当が一人で抱えて社内政治に消耗しているケースが、止まる会社の典型です。

パターン5:品質チェックの仕組みがない

これは最近の実例です。600名規模のお客様にAIを導入し、狙い通りに全社へ広がりました。ところが今度はAIで作りすぎた資料が氾濫して、上長の確認が追いつかない。社長がかなり怒っている、という状態になりました。

普及はする。でもアウトプットの質は、放っておくと必ず落ちる。
広げる仕組みと同時に、クオリティをチェックする仕組みを作ること。
最後はマインドの問題になります。


抜けた企業がやっていたこと

逆に、本番化まで抜けた企業に共通するのはこの3つです。

  • 全員の基礎能力が高い——全員がレベル2まで到達して「作れる土壌」ができていると、レベル3は一気に速くなります
  • 社内にエースを育てている——全員一律は難しいので、選抜人材にレベル3を教え、その人たちが横に広げる
  • トップが本気——GMOインターネットグループさんは3年ほど顧問をさせていただいていますが、社長のトップダウンで「爆速で出せ」と号令がかかります

おざけんさんとも一致したのが、結局これは技術の問題ではなく組織の問題だということ。技術的にはもう成り立っています。セキュリティ要件で叩かれることはありますが、詰まるのはいつも組織の側です。


大企業ほど、まず「特別特区」をつくる

既存業務を止めずに、小さく勝ちを積み上げる

では推進担当者は何から手をつけるべきか。僕がいつも言っているのは「特別特区を作れ」です。

数兆円規模の企業を複数支援していますが、進め方はどこも似ています。

  • 隔離環境を用意する——新しいPCを用意し、仮想環境で一旦エージェントを回してみる
  • 既存業務と並走させる——たとえば経理。請求書処理をAIでも処理しつつ、既存フローでも処理する
  • 勝ったところから置き換える——うまくいった業務だけ、順番にリプレースしていく

考え方としてはデジタルツインに近いです。既存の業務フローを止めずに、隣でもう一つ同じ業務をAIに回させて、結果を比べる。

規模が大きい会社ほど、いきなり本番に入れると抵抗が大きく、既存業務が回らなくなるリスクがあります。だから小さく成功を積み重ねる。100名規模の中小企業だと、いきなり本番に入れて改善していくケースもありますが、大企業はこの進め方が現実的です。

いつかどの企業も、全員がレベル3のワークフローに到達します。
だったら、早めに行きましょう。まず小さく始めることから。


ツールは何を使うのか。いけるならClaude Codeが一番早い

ここ2〜3年でChatGPTやGemini、Copilotが普及しましたが、その先はもう変わっています。今はデスクトップに常駐して、パソコンを丸ごと操作するエージェントが主流になりました。Claude CodeやCodexがその代表です。

性能差は正直かなり大きく、使いこなすと20〜30倍変わる感覚があります。僕自身、裏側で常時10〜20個のエージェントを立てて、記事を書かせたり、開発させたり、お客様への資料を作らせたりしています。ブログを完全自動更新させて上位表示されている、というところまで来ています。

  • いけるならClaude Code——開発環境そのものなので、社内アプリでも業務ツールでも何でも作れます。展示会のブース什器レベルのものでも、1週間あれば作れてしまう開発力があります
  • 難しければワークフロー系で代替——Google WorkspaceのワークフローやCopilot Studioなど。ただし社内ツールとつながらず、承認や返信など用途が限定されがちという課題はあります
  • 怖いなら半自動化から——ブログは自動生成まで、メールは下書きまで。最後に人が入る設計にする

一方で、権限を渡してデータをつなぐほど精度は上がりますが、影響範囲も大きくなります。勝手にメールを送れてしまう状態をどう設計するか。便利さとリスクはセットです。


プロンプトは2割、コンテキストが8割

エージェント時代に効くのは、プロンプト技法ではなく環境整備

もう一つ、会場で強調したのがここです。

エージェントを使う時代になって、凝ったプロンプトを書く意味はかなり薄くなりました。ハーネス側が現場に寄せてくれるので、難しい言葉を使わなくても動きます。

昔はプロンプトが10割でしたが、今のエージェントではプロンプトは2割。残りの8割は、データ連携ツール、参照させるファイルの置き方、共有フォルダの整備、テンプレートの標準化といったコンテキストの設計です。

そして地味に効くのが記憶です。

記憶があれば、あれやっといてで通じる世界になります。
記憶がないと、毎回「あなたは何者で、私はこういう仕事をしていて」と説明し直すことになる。
それは毎日、新入社員を採用し続けているのと同じです。

ここは、来年に向けてエージェントを本格化させたい会社ほど、先に整備しておくべきポイントだと思っています。


3年後には全員がやる。だったら今から向き合う

最初は「ChatGPTは怖い」「Copilotは危ない」と言って、国産の別ツールを入れていた企業も、3年経てば普通に使うようになりました。同じことがエージェントでも起こります。

MicrosoftやGoogleのエージェントが、24時間365日その環境を監視して、チームを自動編成したり、メールの返信を自動で下書きしたりする世界はもうすぐそこです。人がメールを返信する量は、確実に減っていきます。

そうなったときに必ず来るのが「どこまで任せていいのか」という問いです。エージェントに渡す権限の範囲、いわゆるガードレールの設計。ここを今から考えておかないと、3年後に慌てることになります。

3年経てば、日本企業にもエージェントが入ります。
どうせ向き合うのなら、初めから向き合いましょう。


AIは「使う」から「任せる」へ

個人の生産性から、組織の標準へ

セッションの締めくくりは、おざけんさんのこの一言でした。

今日のテーマは、いかに使うかではなく、いかに任せるか。

個人がAIを使って生産性を上げても、組織のプロセスが変わらなければ、使える人と使えない人の格差が広がるだけで、組織としての競争力は上がりません。属人化したままだと、その人がいなくなった瞬間に品質が落ちます。

一方、ワークフローやエージェントに落とし込めば、固定化されたエージェントが組織の標準になります。誰がやっても同じ品質で業務が実行でき、成功体験が組織全体で再利用され、資産として積み上がっていく。

PoCで終わるか、本番化まで抜けるか。その分かれ目は、使うで止まるか、任せるまで設計するかにあります。


デジライズは「外部のAI統括部」です

デジライズは50名ほどの規模で、東京・大阪・福岡に拠点があります。法人向けにAIの教育・導入支援・コンサルティング・開発を行っており、累計600社超の導入をご支援してきました。法人向けAIリスキリングサービスの導入社数はNo.1です(東京商工リサーチ調べ/2026年5月)。

数兆円規模の企業から地方の中小企業まで、業種業態を問わずご支援しています。やっているのは、まさにAI統括部の役割を外から担うこと。戦略を考え、技術選定をし、研修もし、開発もする。外部のAIプロ集団として伴走する形です。

研修はブートキャンプ型で、10時間の動画とワークショップ4回、毎月のミーティングで業務棚卸しまでやります。正直かなり大変ですが、その分だけ本当に身につきます。条件を満たせば助成金を活用できるケースもあります。

AI活用のレベル診断からでも構いません。まずは自社の現在地を知るところから、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

茶圓 将裕
茶圓 将裕 株式会社デジライズ 代表取締役CEO

株式会社デジライズ代表取締役CEO。企業向けAI研修・AI導入コンサル・システム開発を一気通貫で提供し、累計600社超・5万人以上を支援。法人向けAIリスキリングサービス導入社数No.1(東京商工リサーチ・2026年3月末)。GMO AI & Web3顧問、Google Gemini AIアドバイザー。Xフォロワー20万人超。