プレスリリース配信を日本で出す方法と主要メディア

日本でプレスリリースを出すときの配信サービスの選び方と届けたい主なテック系メディア、日本語リリースで気をつける点を実務の順番でまとめました。海外企業が日本向けの発表を準備するときに、相手の決め方から出した後の設計まで追えます。
日本で発表を出すときに決めることは二つです。どの配信サービスから出すか、どのメディアの読者に向けて書くか。この記事では日本で使われているプレスリリースの配信サービスと主なテック系メディア、それに日本語のリリースで私が気をつけている点を順番にまとめます。海外の企業が日本向けの発表を準備するときに、上から読めばそのまま決められるように書きました。私はデジライズで600社を超える企業のAI活用を支援し、年間150回を超える場で登壇しています。ここに書くのは、日本で届いた発表と届かなかった発表を横で見てきた中での判断です。
日本のプレスリリース配信はPR TIMESが基準になる
PR TIMESは2026年2月期末時点で利用企業数124,813社、前年比プラス14.9%で、国内の上場企業の65.6%が使っています。2026年5月末には129,233社まで増え、上場企業の比率は65.8%になりました。
効いているのは後ろの数字です。上場企業の3分の2が同じ場所に発表を置いているということは、出す側の都合ではなく受け取る側の習慣になっているという意味です。日本の記者も事業会社の担当者も投資家も、新しい発表をまずここで探します。海外の企業が日本で最初の一本を出す置き場所として、ここを外す理由はほとんどありません。
もう一つの理由は検索です。自社名義の日本語ページが残っていると、記者が内容を確認できて、検討してくれている企業の担当者が社内で説明に使えます。私が支援してきた中で、製品は良いのに日本で広がらない原因が「日本語の一次情報が存在しないこと」だった例は何度もありました。
配信サービスの使い分けは読まれたい相手で決める
日本には複数の配信サービスがあり、それぞれ性格が違います。
PR TIMES
国内で最も使われている配信サービスです。上場企業の約65%が使っているという前提があるので、業種を問わず情報の置き場所として機能します。日本向けの発表を一本だけ出すなら、まずここが候補になります。
共同通信PRワイヤー
報道で引用される前提のデータや調査結果と相性が良い系統です。電通は2025年の広告費の発表をここから配信していました。業界統計や市場データのように、記事の中で数字として引用されることを狙う発表はこちらが向きます。
@Press
配信先メディアへの転載がある点が特徴です。Impress Watch系のリリース掲載ページ(PC Watchなど)で@Press経由のリリースを見かけます。製品やハードウェアの発表で、メディアのドメイン上に情報が載ること自体に意味がある場合に効きます。
Digital PR Platform(digitalpr.jp)/ ドリームニュース
CEATEC関連のリリースの配信で見かけるサービスです。展示会への出展告知やイベント連動の発表のように、期間が決まっている情報の配信で使われています。
選び方は単純で、誰に読まれたいかで決めます。数字を引用してほしいなら報道向けの系統、製品情報をメディア上に残したいなら転載のある系統、日本語の一次情報を検索に残したいなら最も使われている場所。同じ内容を複数のサービスから重ねて出すこともできますが、ほぼ同じ日本語ページが検索結果に並ぶ状態になります。私は本命を一つ決めて、残りは狙う相手が明確に違うときだけにしています。
届けたいテック系メディアを先に決める
配信サービスは手段で、先に決めるのは相手です。日本のテック系で発表が届く先を整理します。
- Impress Watch系(INTERNET Watch、PC Watch、Cloud Watch、Web担当者Forum):InteropのようなITイベントや広告市場のデータの報道が厚い。ハードウェアやネットワーク、法人向けのITとマーケティング領域の発表と合います。
- ITmedia(EE Times Japan、ITmedia AI+を含む):企業ITから半導体・電子部品、生成AIまで媒体が分かれています。AI製品ならITmedia AI+の読者が近い。
- 日経 / 日経xTECH:経営層と技術者に届きます。経営の意思決定に関わる発表の対象。
- BRIDGE(THE BRIDGE):スタートアップ向けの媒体で、IVS2026を取材していました。資金調達や日本進出のように、スタートアップのコミュニティに向けた発表に向きます。
- AdverTimes(宣伝会議):広告・マーケティング業界向け。YouTube Brandcastや広告業界のデータを記事にしています。
- AIsmiley:AI製品の比較ポータルで、NexTech WeekのようなAIイベントの情報も載っています。AIプロダクトを比較検討の候補に入れてもらう場所です。
- NewsPicks:ニュースにプロピッカーがコメントするビジネスニュースの場です。私もプロピッカーとしてコメントしています。発表が議論の対象になると読まれ方が変わります。
一本のリリースを全方位に出さない
よくある失敗は、一本のリリースで全部の層に当てようとして、どの媒体の読者にも刺さらない文章になることです。私は発表の前に「この発表で誰に動いてほしいか」を一つに絞り、その読者がいる媒体の記事の書き方に合わせて見出しと一段落目を作り直します。本文の後半は全媒体で共通でも構いません。差が出るのは最初の数行です。
日本語のリリースは翻訳ではなく書き直す
英語のリリースを直訳した日本語は読まれません。構造から作り直します。私が必ず確認している点を挙げます。
- 見出しは「どの会社が何をするか」。主語に自社名を置き、形容詞を削ります。日本の媒体は見出しをほぼそのまま使う前提で読んでいます。
- 会社の説明を一文入れる。どの国の会社で何をしているか。日本では知られていない前提で書きます。
- 日付と時刻は日本時間に直す。世界同時の発表なら日本時間で何日の何時かを明記します。
- 金額や単位は日本の読者が使う形に直す。自分で換算した数字を書くときは換算の前提も添えます。
- 固有名詞のカタカナ表記を先に決めて社内で統一する。製品名の読みが決まっていないと記者が書けません。
- 社名の正式表記と役職名の訳を決める。ここが決まっていないと確認で止まります。
- コメントは日本の責任者の言葉で入れる。本社トップのコメントだけだと日本の読者には距離があります。
- 画像は日本語入りのものを用意する。日本の記事は本文の途中に画像が入ります。
- 問い合わせ先は日本語で返信できる窓口にする。
これは事実の整理ではなく私の実務上の判断です。ただ、ここを詰めた発表と英語をそのまま訳した発表では、その後の反応がかなり明確に違います。
出した後に読まれる場所まで設計する
リリースは出した時点では情報が置かれただけです。日本では配信のあとに読まれる場所が別にあります。
- note / note pro:日本の企業やAIのつくり手がオウンドメディアとして使っているプラットフォームです。リリースに書けない背景や使い方の詳細はここに置くと読まれます。
- LINE公式アカウント:LY Corporationの2025年度の決算で49.3万件のLINE公式アカウントが報告されています。顧客に直接届ける経路として日本では一般的です。
- NewsPicks:コメントが付くことで発表が議論になります。
- X:日本の生成AIの情報はXで動いています。私も@masahirochaenで20万人を超える方に向けて発信しています。
- イベントと登壇:CEATEC、Interop、NexTech Week、IVSのように媒体が取材している場があります。発表の内容を人が話す場に乗せると、文章だけのときより伝わります。
この話を自社でどう活かすか
日本向けの発表を準備するなら順番はこうです。まず「この発表で誰に動いてほしいか」を一つ決める。次にその読者がいる媒体を2〜3個挙げる。その媒体の記事を10本読んでから、見出しと一段落目を日本語で書き直す。配信サービスは本命を一つ選び、日本語の一次情報として検索に残す。最後にnoteや自社のチャネルに、リリースでは書けない背景と使い方を置く。
日本は情報の置き場所と読み方の習慣がはっきり決まっている市場です。発表そのものを変えなくても、置き方と書き方を合わせるだけで届き方は変わります。
よくある質問
日本でプレスリリースを出すならどの配信サービスを使えばいいですか
日本語の一次情報を検索に残すことが目的なら、国内の上場企業の約65%が使っているPR TIMESが最初の候補になります。報道で数字として引用されたい調査データなら共同通信PRワイヤー、製品情報をメディア上に残したいなら転載のある@Pressのように、読まれたい相手で選び分けます。
英語のプレスリリースをそのまま日本語に訳して出してもいいですか
直訳はおすすめしません。見出しの主語を自社名にする、会社の説明を一文入れる、日付を日本時間に直す、固有名詞のカタカナ表記を統一するといった組み替えが必要です。日本の媒体は見出しをほぼそのまま使う前提で読むので、見出しと一段落目は書き直します。
AI関連の発表はどのメディアに届けるといいですか
AI製品ならITmedia AI+やAI製品の比較ポータルのAIsmiley、法人向けのITやマーケティング領域ならImpress Watch系、スタートアップの発表ならBRIDGEが近い読者を持っています。経営の意思決定に関わる内容なら日経と日経xTECHも対象になります。
Xの投稿をもとに作成元の投稿 ↗